concept

ともすると、些末な事柄や溢れかえる情報に気を取られてしまい、なかなか本当のことに向き合えない都市生活。本来はシンプルだったものが、いつの間にか複雑で鈍重になってしまうことの多い日常。せわしなさの中で、いつのまにか自分の生活から切り離されてしまったように感じる「働く」という行為。はっきりと意識することはなくても、ぼく達は日々の中で、なんともいえない働きづらさや息苦しさを抱えながら、自分自身の事や周囲の人達に対して少しづつ鈍感になっていってるのではないでしょうか。確かに都市は働くためにはとても便利な場所ですが、たまにはスピードを緩めて頭を切り替える場所、あるいは「働く」を取り戻す場所が必要です。

YAMA WORKは自然環境型の持続可能な働き方をプロトタイピングすることをテーマにしてスタートした新しいプロジェクトです。八ヶ岳山麓の中腹に広がる蓼科高原、豊かな自然環境に囲まれたホテルの一角に、三棟のログハウスとアウトドア・コワーキングスペースを用意しました。なにも都市と自然、日常業務と休暇を対立するものとして考える必要はありません。都心から車で約三時間。ほど近いとはいえないものの、遥か遠方でもない。YAMA WORKは、普段過ごしているオフィスを離れて、気が向いた時にさっと足を運ぶことのできる、まるでオンとオフの境目にあるようなちょうどよい場所に位置しています。いつも持ち歩いているノートパソコンとコーヒーを片手に、普段より少しだけアクティブになることで手に入る持続可能な働き方。それはぼく達の日常に心地よい刺激を与えてくれるはずです。

アメリカでは近年、「ワーケーション」という働き方を実践する人が増えているそうです。自分の滞在したいエリアで休暇をとりながら、同時にきちんと仕事も片付ける。加えて、この期間は勤務日として扱われ、給与が支払われるという、福利厚生の制度を含めたサスティナブルなワークスタイルです。日本でもデジタル技術を活用しながら、特定の場所に依存しない自由な働き方を選択する人が増えてきました。その反面、休暇をなかなか取れない、休みの日でも何度もメール対応をしてしまうという人も増えており、2014年度の日本における有給休暇取得率は50%、世界でワースト2位となっています。よく考えてみると、様々な理由で休暇を取りにくい日本でこそ「ワーケーション」というワークスタイルが必要なのではないでしょうか。

YAMA WORKの提案する働き方はとてもシンプルです。大切な仲間や家族と一緒に、様々な山のローカル・アクティビティを楽しみながら、同時に普段の仕事にもしっかりと取りくむための設備を用意しています。例えばトレイルランニング+WORK、ジビエ+WORK、あるいは温泉+WORK。その組み合わせ方次第で、あなただけのワークスタイルを実践することが可能です。高層ビルではなく深い森の中で、たとえば来週プレゼン予定の企画を練ってみる。排気ガスではなく、高原の清涼な空気を吸いながら、新しいプロジェクトのアイデアを構想してみる。自ずとそこから湧いてくるインスピレーションも違ってくるはず。

このプロジェクトはまだスタートしたばかりです。自分自身の働き方を快適に保つために日々の時間の使い方を意識し、実験的に仕事環境をデザインしてみる。YAMA WORKは、そういった思いに共感してくれる仲間と一緒に、ぼく達自身がぼく達自身のために試行錯誤しながらつくっていく場だと考えています。大切なのは、都市と自然、その双方を軽やかに肯定しながら自分の感性に適したワークスタイルを追求しようとする柔軟な心のあり方です。

あなたも、深く濃い森の中で自分の五感を取り戻し、かねてから向き合いたいと思っていた本当のこと、集中すべきタスクやプロジェクトに没頭してみませんか。